深山に稀産する小型のラン。誰が名付けたのか、「ヒバ林の貴公子」の異名を持つ。なお、ヒバ林以外にも生育する。本種の「ヒバ林の貴公子」に対して、ヒメホテイラン Calypso bulbosa (L.) Oakes var. bulbosaは「ヒバ林の妖精」や「ヒバ林の女王」と呼ばれているようである。
葉が一枚なのでイチヨウランというが、葉が一枚のランは他にも存在する。しばしば「イチョウラン」と誤記される。おそらく一般に知られており、字面が似ている「イチョウ(銀杏)」と勘違いしたと思われる。
葉に斑点が入る品種をヒメウズラヒトハラン f. punctata (Miyabe et Tatew.) Yonek.という。
花だけ見れば他に類似の種はない。和名だけであればコイチヨウラン Ephippianthus schmidtii Rchb.f.が似ているが、姿は全く異なる。
鳥取県のレッドデータブック(2012)では智頭町と佐治町に分布となっているが、撮影地はいずれでもない。とはいえ、自生地保護のため情報を出さないということはよくあることであるから、新規確認地かどうかは不明である。とある植物の生育情報を元に、誰もいない痩せ尾根をひたすら歩いている途中で見つけた。道中は低木、ササの繁る痩せ尾根である。進めども進めども、なかなか目的地には到着できず、引き返そうかと思ったところであった。その後、当初の目的の植物も確認することができた。再度確認に行きたいが、とても一人で行きたいとは思えない。そのような場所である。しかし、また行くことになるだろう。写真のオリジナルデータが行方不明である。