ギンラン Cephalanthera erecta var. erecta
2012/06/04 鳥取県大山町

Cephalanthera erecta (Thunb.) Blume var. erecta

ギンラン 銀蘭

科 / 属 ラン科 キンラン属
国内分布 北海道~九州
生育環境 冷温帯~暖温帯の樹林下
生活型 多年草
花期 5-6月
草丈 10-30cm
種小名由来 「直立した」の意
和名由来 黄色い花のキンランに対して白を「銀」に見立てた
別名 -

同属のキンラン C. falcataに対してギンランと名付けられているが、キンランと比べるとずいぶんと小ぶりである。山地の林内や林縁でまれに見かける。

このギンラン、距がない個体があり、これがクゲヌマラン Cephalanthera longifoliaとの識別において、距の有無のみでは判断できない所以の一つである。しかし、いくつか確認した距がない個体は、そのすべての個体で唇弁が花弁化している、いわゆる六弁花であった。

この六弁花個体はヤビツギンランと呼ばれ、2020年に新品種f. peloricaとして記載された。


ヤビツギンラン Cephalanthera f. pelorica
ヤビツギンラン
2014/06/01 福島県
ヤビツギンラン Cephalanthera f. pelorica
ヤビツギンラン(花)
2014/06/01 福島県

変種としてユウシュンラン var. subaphyllaがある。ユウシュンランはギンランに似るが、葉が退化し鱗片状もしくは小型化したものである。葉があっても長さ約2-3cmと、ギンランの苞程度の大きさである。
ユウシュンランにも六弁花品種があり、上述の「愛媛植物研究会 室内談話会」の要旨内ではオンタケユウシュンランと呼んでいるようである。こちらは学名としてC. erecta subaphylla f. conformisが与えられている。となると、やはり上述のヤビツギンランもf. conformisとしたくなる。
なお、ユウシュンランを独立種 C. subaphyllaとする見解もある。オンタケユウシュンランの記載論文ではこちらが採用されている。
ギンランの変種とも言われていたエゾギンランは、現在ではクゲヌマラン C. longifoliaの別名として扱われている。ただし、エゾギンランとして採集された不明種があるとかないとか。

ササバギンラン C. longibracteataはギンランに比べ苞が著しく長いことと、葉脈が目立ち、葉裏や縁、花茎に乳頭状突起(短毛状突起)がありざらつく点で区別できる。また、ギンランの距は長く突き出るが、ササバギンランの距は短い。
クゲヌマランは距が著しく短く、僅かに突き出る程度であることと、開花時のざらつきが少なく、葉脈も目立たないこと等で区別できる。また、ギンランと比べても苞が短いように思う。

(更新日:2017/01/03)